ビューティフル・ネーム




右脳だか左脳だかの活動が
活発なのかそうでないのかわかりませんが、
僕はよく人の名前を間違えます。


ちなみに間違えるのは名前だけであって
例えば2、3の言葉を交わせば、コンビニの店員さんでも
顔は結構忘れなかったりします。


さて、ここで問題となるのが
「名前を忘れる」ではなく「間違える」ということです。
つまり自分ではそれが正しい、と思いこんでしまうわけです。


高校の卒業式の日、
3年間机を並べて学んだ「クスノキ君」を「タチバナ君」
と呼んでしまったこともありました。
“木偏”という理由だけで。

また、友人の友人の「ヨシノリ君」を「ノブテル君」と呼んでしまったことに関しては、
もはや共通点すらありません。
しいて言えば「弟がいる」ということくらいでしょうか。

さらに「ユイさん」という名字の女性を下の名前だと思いこみ
「なんてフランクな人だろう」と、内心驚いたりしたこともあります。
ちなみに「ユイさん」は齢60歳近い大学の教授でした。


言うまでもなく名前はアイデンティティですから
それを間違えることは大変失礼に値します。
時には相手の心に遺恨を残すこともあるでしょう。

何か対策を考えなければ。
このままではいずれ、大変な悲劇に発展してしまうかもしれません。










明け方のベッドで

女「ねえ」


男「ん?」


女「私たちって、つきあってるのよね?」


男「当たり前だろ。どうしたんだい、急に?」


女「ううん、なんでもないの」


男「なんだい、らしくないじゃないか、シオリ」


女「・・・・」


男「悩みがあるなら言ってごらん」


女「そうね・・・ねえ、私の名前を呼んでみて」


男「?」


女「いいから、呼んで」


男「はいはい、可愛いシオリお嬢様」


女「ふざけないで、ちゃんと」


男「ヤマザキ シオリ。僕の恋人だ」


女「・・・・違うの」


男「気持ちが足りなかった?」


女「いいえ、もっと根本的に」


男「?」


女「名前が・・・違うの」


男「なんだって!」


女「ヤマサキなの!濁らないの!私はそういう女なの!」


男「・・・・」


女「私は・・・・濁らないのよ」


男「もういい。もういいから自分を責めるな」


女「ひっく・・・ごめんなさい」


男「僕こそごめんよ、気付かないで」


女「嫌いにならない?」


男「ああ」


女「本当?」


男「濁点がないのは確かにショックだが、それでもまだプラスだ」


女「漠然と嬉しいわ」


男「よかった」


女「・・・いい機会だわ。もうひとつ、いいかしら?」


男「いいとも。もう大概のことじゃ驚かないからね」


女「下も違うの」


男「まさか!」


女「サオリなの」


男「そんなバカな!」


女「いいえ・・・これが真実」


男「なんてこった・・・」


女「・・・・・」


男「サヨリだったなんて・・・」


女「それは魚だわ」


男「ああ、すまない・・・サワラ」


女「なお魚類ね。もはや人の名前じゃないし」


男「ああ、すまない。少しそっとしておいてくれないか・・・サザエ」


女「確実にわざとでしょう」


男「なんのことだい?」


女「・・・もう、たくさんよ。傷つくのも傷つけるのも」


男「・・・? どうしたんだ、ワカメ!」


女「もう、たくさん」


男「おい待て、どこへ行くんだ、花沢さん!」


女「さよなら」


男「待ってくれ、行かないでくれ・・・・・ノリスケェェー!」




なんて切ない別れでしょう。
なんて悲しい話でしょう。
しかし。
他人事ではありません。

あなたの恋人や親友、大切な人の名前。
それは間違っていませんか?
自信を持って言えますか?


あなたの隣のナカタ君は
実はナカダかも、知れない・・・。




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